まぶたが開いた。

夜、数時間、目が開いた。


それまで2ヶ月以上、ずっとまぶたが重ぐるしくふさがっていたのに。


目が開いた。


自分の顔が見える。顎をひく角度が分かった。


目が開いたので。


やせ衰えて、顎の下の肉がなくなったので、顎ひいても変に二重にならない。迷うことがない。リセットされた。


目も前より大きく、まぶたの窪みもかなりできている。


視点は相変わらず定まりがちで、目の奥も痛むが、すとんと落ちていたまぶたがなぜか開いた。


病を得て、風貌も変わった。


天井まで、視界がひらけている。


明るい。


―光あれ。―


私はこれから自分で切り開いた光の中をあゆむ――。