[]耳鳴りは命の音。赤ん坊は轟音を胎内で聞く。

朝日新聞の書評より。

「のぼりくだりの…」まど・みちお の詩集。

「耳をすますと」という詩、耳鳴りの詩らしい。御年100歳なら耳鳴りもして当然だろうな。


評者、穂村 弘。


「(私達の体で)本当はずっと鳴り続けているんだろう。だって、血の流れる音や食べ物を消化する音や細胞が生まれ変わる音を全て混ぜて拡大したら、『ごおーっ』になりそうだ。それって命の音そのものなんじゃないか。そういえば、赤ん坊は母親の胎内で轟音を聞いてるって話も聞いたことがある。

『ごおーっ』が我々の普段の耳に聞こえないのは、その上に体の丈夫さとか言葉とか社会的な意識とかが何重にも被さっているからだと思う。だから、それらの影響圏から遠い子供や高齢者ほど、よく聞こえるんじゃないか。」


胎内で轟音を聞いてた。ほんとだとしたら、喧しいとは感じなかったんだろな。


被さっているものがない分、命の音がよく聞こえるのか。嬉しいような、有り難くないような。でも、確かにこの喧しいのは体の内部の音。体の必死の営みの音。何百倍に拡大されてるかは分からないが、愛おしく思うべき、命の音だ…。