フグの卵巣の糠漬け。
お昼にフグの卵巣の糠漬けをいただきました。
金沢で買ってきた。
薄くスライスして炊き立て玄米ご飯の上に乗せていただきます。
猛毒のフグ卵巣。
大丈夫かな。恐る恐る…。
美味しい!!
色合いから「からすみ」みたいなものかなと思ったけど、たらこに近い。奥行きのある上等な味わい。
二切れで丼ご飯2杯いってしまいました。
このフグの卵巣糠漬け。石川県だけに法律で製造が許されているそう。
猛毒のフグの卵巣を、3年発酵によって解毒させる。しかしそのメカニズムは今もって正確には解明されていない。
海が荒れて漁に出られない冬場の保存食。
私の好きな発酵学者小泉武夫の言によると、
世界で一番珍しい食べ物。他に毒を抜いて食べるものはパプアニューギニアにあるが、それはほんのちょっとした毒。
「解毒発酵」。
あんな大きなフグの卵巣から全部毒を抜く。
これほど珍しい食べものは世界にふたつとありません。原料が猛毒という点で特異、無毒化して食べるという点でまさに奇跡の食品。
人間にとって最大の猛毒が、糠味噌の中にいる乳酸菌にとっては食べ物に過ぎない。
糠味噌には1g中に10億〜15億の乳酸菌がいるそう。
日本人の無駄を出さないという執念と、何でも食ってしまおうという飽くなき追求が作り出した珍食だ、と。
偶然を生活に活かす日本人の優秀さ……!!
ついでに知ったことだが、第一次世界大戦の終わり頃にダイナマイトが発明された。しかしそれより遡ること400年近く前に、日本人は発酵によって爆薬を作っていた、と。しかも富山!!
五箇山の農家で発酵によって塩硝を加賀藩に納めていた、と。綿密に計算された高度な化学。
すごいな、日本人。すごいな、富山。