父へ
お元気ですか?こちらはすごい雪です。このくらい。
今日、ふっと思ったのでお手紙書きますね。
もしかしたら、お父さんにとても、とんでもなく寂しく辛い思いをさせてきてしまったのかもしれない、と。
小さい頃からお母さんにお父さんの悪い面ばかり聞かされて育ってきて、お母さんの色メガネでお父さんを見てたと思う。
色メガネをかけていたことに気がつかなかった。
お父さんが仕事辞めて「さあ、これからよろしく」と言った時も、「何を今更…」と思ったのですが、
もしお父さんに今まで罪がなかったとしたら、私はなんてお父さんに冷たいことをしてきたんだろう。恐ろしいことです。
自分が心をかけてる娘が、あろうことか自分のことをおとしめてきた母と仲良く(?)しているのを見て、「なぜ?」と苦しかったかもしれない。
もしそうだとしたら、申し訳ない。ごめんなさい。
相当な忍耐だったと思う。…
遠く離れて住む父に手紙を書いた。
父も先は長くない。
私が気がついたこのことを、知らないままに死んでしまうとあまりにもかわいそうな人生だ。
私の目も、いつまた字が書けなくなるともしれないから。
書けるうちに。
伝えられるうちに。